「美女打ち見れば、一本葛(ひともとかづら)へも成りなばやとぞ思ふ 本より末まで縒らればや、切るとも刻むとも、離れ難きは我が宿世」 (「梁塵秘抄」、後白河法皇撰)
※愛欲賛歌。実に大らかなものだ。今なら変態と呼ばれかねないね。
(訳)美女を見ると、一本の蔦葛にもなりたいと思うよ。根元から蔓の先まですっかり縒り合わせられたいことだ。たとえこの身が切られても刻まれても、美女から離れがたいのは私の宿命というものよ。
「我を頼めて来ぬ男、角三つ生ひたる鬼になれ、さて人に疎まれよ、霜雪霰降る水田の鳥となれ、さて足冷かれ、池の浮草となりねかし と揺りかう揺り揺られ歩け」 (「梁塵秘抄」、後白河法皇撰) ※「梁塵秘抄」は平安末期の歌謡集。恋人に裏切られた女の恨み節といったところか。昔も今も変わらないが、昔の感情表現は今より激しく直接的だ。
「遊びをせんとや生(うま)れけむ、戯(たはぶ)れせんとや生(むま)れけん、遊ぶ子供の声聞けば、我が身さへこそゆるがるれ。」 (「梁塵秘抄」、後白河法皇撰) ※「梁塵秘抄」は平安末期の歌謡集。そのなかでも有名な歌だが、遊女の歌とする説、童心への憧れとする説など諸説ある。